BLmarks - BL漫画・小説の感想Blog -

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記憶移しの恋 岸

依頼人の記憶を物に移して忘れさせる能力、「記憶移し」。記憶移しを生業とする旅の男のもとに、隙間のような青年が客としてやってくる。青年の依頼は、片想いをしていた親友に裏切られたという無残な恋の記憶を、物に移すことだった。記憶移しの男はティーカップに恋の記憶を移し、青年の願いを叶えてやるのだが――。
https://novel18.syosetu.com/n3241fj/
 

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記憶移しの恋 岸
本編全30話完結済+その後のふたりの番外編を連載中(現在3話まで更新)。
静けさに満ちた文章がとても美しく、その文章の静寂に寄り添うように紡がれていく本作…控えめに言ってめちゃくちゃいい✨です。
「記憶移し」という設定も、北の町を出てからの物語の構成も、登場する人々の記憶(その悔恨や苦しみ)も、細部に至るまで綿密かつ丁寧に作られているので、1話1話をとても大切に読まなければという気持ちになる。
「記憶移し」という生業に含まれる制約が、物語の最後に大きな意味を持ってくる伏線となっているのだけれど、「記憶移し」の青年が「何処にでもいる普通の男です」と語るに至った27話のその場面は、青年の静けさは何も変わらないのに、彼の空気がすっと穏やかなものに変化したことを数行で感じさせるのが本当にすごい。それまで真冬の凍った空気を孕んだ緊張が常に物語を覆っていたのに、ここから雪解けのような自然さで緩やかで柔らかな空気感に移り変わっていくエピローグもすごくいいし、北の町の本当の名前が意味するもので終幕されるのもよかった。
そのあとに続く番外編(書き手様はおまけと位置づけてらっしゃいます)のその後のふたりの物語は、本編よりも雰囲気を和らげていて、「記憶移し」の青年の天然っぷりがなんとも微笑ましく(しかも無骨でごつめなルックスなのもツボに輪をかける)、それに動揺するアスさんがとても人間味あふれていて、本編とはまた違った魅力を発揮💓現在このおまけの番外編は3話まで更新されていて、おそらく次話でエロ突入と思われます。このふたりが、行為のときにどんな様子なのか楽しみしかないw
本当に素敵な作品なのでめちゃくちゃオススメです。


またこちらの書き手様の「硝子の魚」という作品もちらりとご紹介。本作「記憶移しの恋」とはまったくテイストも印象も異なるBL作品で、出逢ったことで自分自身ですら気づいていなかった欲望(性癖)が暴かれ、受け入れていく過程を、濃厚エロどか盛りで書かれていて、こちらも読み応え満載です。⚠︎ただし最初の肉体関係が無理矢理からはじまるのと女性器の隠語での言葉攻めがあるので、地雷の方はご注意ください。あとタグにも目を通した方がいいかな。

硝子の魚(glass catfish syndrome)
 https://novel18.syosetu.com/n0716bt/

硝子の魚(extra edition)(番外編集)
 https://novel18.syosetu.com/n8427cf/